ジャンダルムで揺れた鎖の音

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山と地質と街道とフィルムカメラのブログ 月1回更新

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山で使うフィルム撮り比べ【MARIXカラーネガ編】

フィルムカメラが流行っている。それに伴いフィルムの種類が増えてきた。そんな新しいフィルムのなかでも特に見かけることが多いのがMARIXシリーズである。映画用フィルムを転用したフィルムのようだが、同じく映画用フィルム転用のCinestillと比べて圧倒的に安い。写りはどんな感じなのか、カラーネガを山で使ってみることにした。

 

今回紹介するフィルムは以下のとおりである。

・MARIX100D

・MARIX400D

・MARIX800T

・MARIX aircolor 100D

 

では早速紹介していこう。

※この記事の情報は2024年1月時点の情報である。

※写真のキャプションは使用したレンズを示している。比較するなら同じ場所で同じレンズを使えという話だが…

marixfilm.com

 

MARIX100D

映画用フィルムとして人気のkodak vision3を一般現像のC-41処理可能にしたもの。「D」はDaylightの略で太陽光源用に色温度が調整されている。感度は100で晴れた山で使いやすい。撮影可能枚数は36枚撮りと24枚撮りの2種だ。

特徴としては彩度が低めだ。そしてDaylightフィルムのため暖色系の色になる。また、映画用フィルムでよくみられる現象だが、このフィルムも強い光の周りが赤く滲む傾向がある。

なお、光線漏れに非常に敏感で、カメラ裏蓋の窓からの光で感光してしまう。MARIXフィルムを使う際はテープでふさぐ必要がある。うすいテープだと光が透けてしまうことも多く、厚手のテープを推奨する。(薄い紙テープを張って使っていたら貫通して感光してしまった…)

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

 

MARIX400D

MARIX100Dと同様に、映画用フィルムとして人気のkodak vision3を一般現像のC-41処理可能にしたもの。「D」はDaylightの略で太陽光源用に色温度が調整されている。感度は400で対応できる状況が多く使いやすい。撮影可能枚数は36枚撮りと24枚撮りの2種だ。

特徴としてはMARIX400Dも100Dと同じく彩度が低めだ。そしてDaylightフィルムのため暖色系の色になる。ただし100Dに比べて青がしっかり写り、コントラストもやや強い印象がある。

光の滲みや光線漏れについてはMARIX100Dと同様だ。(私は100Dの学習を活かせずまた感光させているが…)

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

 

MARIX800T

MARIX100Dや400Dと同様に、映画用フィルムとして人気のkodak vision3を一般現像のC-41処理可能にしたもの。「T」はTungstenの略で 白熱電球光源用に色温度が調整されている。感度は800で日影や山小屋内でも対応できるが、晴れた山だとやや過剰になる。撮影可能枚数は36枚撮りと24枚撮りの2種だ。

特徴としては彩度が低めだ。そしてTungstenフィルムのため寒色系の色になる。

光の滲みや光線漏れについてはMARIX100Dや400Dと同様だ。

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

VALDAI HELIOS-44-2

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MARIX aircolor100D

このフィルムだけまったく出自が異なる。上記の3種は映画用フィルムの転用だが、aircolorはAEROCOLORという航空写真用フィルムの転用である。詳細はリンク先から。

www.kitamura.jp

感度は100で晴れた山で使いやすい。こちらもDaylight用で太陽光源用に色温度が調整されている。撮影可能枚数は36枚撮りの1種だ。

写りに関しても、同じMARIXの名前を冠してはいるが、aircolorだけはまったく別と考えたほうがいい。色がクリアでナチュラル、ラチチュードが広い、そして粒子も細かい。これは航空写真用であるためだろう。

光の滲みは起こらない。ただし感光しやすい性質については変わらないようだ。裏蓋の窓はしっかり塞いでいたのでそこからの感光はなかったが、フィルムの使い始めから5枚程度が全体的に感光していた。この感光については自分自身で再現性を確認できたわけではないが、同じ現象がほかのブログにも報告されていた。最初の数枚は感光してしまうものと考えたほうがよさそうだ。

感光状況、5枚目まで感光している、パーフォレーション部では10枚目あたりまで影響が出ているが写真本体への写りこみはない

実際に使用してみると、MARIX aircolorは山で使うフィルムとして非常に優秀であることが分かった。粒子が細かくラチチュードが広く質感表現に優れているため、空や雲、雪などの質感が写真にしっかり残るのだ。Daylight用ということもあり、特に晴れた雪山で最強の性能を発揮する。

Carl Zeiss Jena flektogon 35mm

Carl Zeiss Jena flektogon 35mm

Carl Zeiss Jena flektogon 35mm

Carl Zeiss Jena flektogon 35mm

 

以上である。比較的安く、いろいろなところに売っていて入手難易度も低いMARIXシリーズが新しく出てきたことは、フィルムカメラ使用者にとっては大変ありがたい。特に登山をする人には、aircolorを強くお勧めする。