ジャンダルムで揺れた鎖の音

ジャンダルムで揺れた鎖の音

山と地質と街道とフィルムカメラのブログ 月1回更新

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タンザニアでは日本車が余生を送っている(タンザニア旅行記①準備~登山開始前)

2024年3月にタンザニアに行った。キリマンジャロに登るためである。ノウハウをまとめたブログはほかにたくさんあるので、このブログでは取り扱わない。ここでは現地で日々つけていた記録を写真とともに振り返る。 同行者は友人Tの1名だ。 今回は準備~登山開…

登山と飲み会の代替性について

登山に行くと膨大な時間を人と話すことに費やすことになる。誰かといっしょに山に行けば、その人と一日中、泊まりがけであれば複数日いっしょにいることになるからだ。結果としてその人の内面まで深く知れることが多く、割と親密になりやすい。 一方でコミュ…

山で使うフィルム撮り比べ【MARIXカラーネガ編】

フィルムカメラが流行っている。それに伴いフィルムの種類が増えてきた。そんな新しいフィルムのなかでも特に見かけることが多いのがMARIXシリーズである。映画用フィルムを転用したフィルムのようだが、同じく映画用フィルム転用のCinestillと比べて圧倒的…

現代社会は地面が硬すぎるので長く歩けない【徒歩中山道④】

③はこちら gendarmes.hatenablog.com 4日目 中山道はまだまだ残りが長い。間に合わない感が強くなってきたので、睡眠時間を前日よりもさらに1時間削って6時間としてみた。少し眠い。 いつものことだが、足の裏が痛くなってきた。正確な表現をすると、すべて…

中山道最大の難所はなぜか誰も知らない【徒歩中山道③】

五街道歩きをライフワークにして早や6年が経過した。残りはもう中山道の下諏訪以西のみである。さっさと片付けてしまおう。大掃除のような気分で出発した。 ②はこちら gendarmes.hatenablog.com https://www.kumagaya-bunkazai.jp/museum/jousetu/nakasendou…

山の品格とは見た目の美しさ。登ることがすべてではない

前回からの続きです。 gendarmes.hatenablog.com 日本百名山(新潮文庫) 作者:深田 久弥 新潮社 Amazon まずは、歴史や個性が不足している山の具体的事例から考える。そのような山は北海道に多い(怒られそうだが…)。例えば、斜里岳や羅臼岳は深田久弥の「…

深田久弥の言う山の品格とはなんなのか

私は2023年8月に日本百名山を達成した。スタンプラリー的百名山には賛否両論あることは承知しているが、やはりいい山が多く、次に登る山を選ぶ基準としてはとても有用である。ただし、この百名山は必ずしも景色がいいわけではない。なにをもっていい山として…

山で使うフィルム撮り比べ【廃番フィルム編】

フィルムの種類がどんどん減っている。残ったフィルムは高価なものばかりで、もはや常用フィルムがなくなってしまった。フィルムカメラが人気で売り上げがあがっているという情報もあるが、買うフィルムがなければ人は離れていってしまうだろう。よってこの…

山に登る理由は子どもたちが教えてくれる

先日、小学生〜高校生の子どもたちと白馬岳に登る機会があった。この登山は、ボーイスカウトの活動の一環で、大学院を卒業するまでは私自身も所属していた団体だ。私は、就職に伴い家が遠くなってしまったため、ヘルパーとしてスポットでの参加となった。こ…

地形的観点から山で水を探す

登山業界における食料はどんどん軽くなっている。α米やフリーズドライの食料はどんどん進化し、持っていくことがあたりまえだ。それにより持っていける食料の量は増え、山で食料を調達することはまずない(服部文祥さんみたいな人みたいな現地調達派もごくわ…

山で使うフィルム撮り比べ【期限切れフィルム編】

ある日、仕事の知り合いから期限切れフィルムを大量にもらった。引っ越しをしたときに冷蔵庫の奥から出てきたらしい。フィルムの価格が高すぎるご時世なので、非常にありがたい。とはいえ期限切れフィルムは癖が強いものも多いし、個体差も大きく、下手した…

人を登山の沼に沈める6ステップ

私はすべての人が山に登ったほうが幸せになれるという思想の持ち主である。よって山に登ってみたいという友人がいたら、いや登りたいといっていなくても、積極的に山に連れていくようにしている。そのような活動を関東で10年ほど続けた結果、人を効率的に登…

南アルプス横断の道は公共投資失敗の歴史【伊奈街道文献調査】

2年半前の2020年秋に南アルプスを横断する古道である伊奈街道を歩いた。事前情報が不足していたため分からないことが多く、その後も細々と文献調査を続けていた。情報が増えてきたので一度まとめておくことにする。 ※現地踏査の記録はこちら gendarmes.haten…

吹雪の和田峠越え【徒歩中山道②】

①はこちら gendarmes.hatenablog.com 3日目 安中以降の中山道は山間部に入っていく。妙義山のでこぼこした特徴的なフォルムを横目に進んでいくと、碓氷の関所に到着した。ここからは山道に入り碓氷峠を越えることになる。完全な山道区間は約8kmと、山登りと…

歩くことの哲学【徒歩中山道①】

奥州街道を歩いてから1年以上たった。そろそろまた歩かなきゃいけない気がしてきた。五街道も残りはあと1つのみである。中山道編、スタート。 https://www.kumagaya-bunkazai.jp/museum/jousetu/nakasendou/01_a01.htm 始発に乗って日本橋へと向かった。もう…

地名から山を考える

街の地名は変化していく。人が住むと新たな呼び方が定着し、古い呼び方は忘れ去られていく。一方で人が住まない場所は名前が変わりにくい。新たな呼び方が定着することがないからだ。そのため山には古い地名が往々にして残っている。 地名はその場所の地形的…

火の神はチャートに宿る

山と神社は切り離すことができない。神道は自然と神を同一のものとして扱っているからである。御神体が山という神社はそれなりの数がある。そのため全国の山を巡っていると、お詣りもセットでついてくることが多い。いろいろと由緒正しい山の神社を巡るなか…

なぜ「なぜ山に登るのか」と聞かれるのか

なぜ山に登るのか。登山をやっていると頻繁に聞かれる質問である。「そこに山があるからだよ」といってお茶を濁すが、以前の記事で検討したように、登山者自身も正確な理由を持たないため非常に答えづらい。一方でほかの趣味では「なぜそれをやっているのか…

CONTAX T3のスプールの爪が折れても使い続ける方法

2022年4月にCONTAX T3を買った。決して安いカメラではなく、だいたい給料1か月分が吹っ飛んだ。4月の私は大赤字である。写りはまあ素晴らしく楽しい日々を送っていたが、7月に大トラブルが発生した。新しいフィルムを装填しても空転するばかりで、フィルムを…

愚者は経験に学ぶ【太良鉱山探検】

鉱山探検というジャンルがある。廃墟探検の文化的要素と鉱物採集の地質学的要素が混在しており、私はどちらにも興味があるため、いずれやらなければならないと考えていた。そんなある日、会社の先輩から太良鉱山という秋田の鉱山の話を聞いた。その先輩のお…

山好きが建設コンサルタントになると罪悪感で死ぬ

私は仕事で山に関わっている。というと山小屋で働いていたり山岳ガイドをやっていたりと思われるかもしれないが、関わっているのは山であって登山ではない。私の職業は建設コンサルタントというものにあたる。建設技術を中心とした開発・防災・環境保護等に…

気象予報が苦手な天気

梅雨は天気予報が当たりにくい。そんなイメージを持つ人が多いと思う。降ったりやんだりを繰り返し、ずっと降っている予報だったのに意外と降っていなかったりする。その逆もしかりだ。ただその印象で天気予報がいつも当たらないものだという印象を持たれる…

山で使うフィルム撮り比べ【35mmカラーポジ編】

ポジフィルムは撮影が難しいし価格が高い。このイメージを多くの人が持っているせいか、ポジフィルムの使っている人の数はネガフィルムを使っている人に比べて圧倒的に少ない。私の周りの体感では10分の1未満である。そのためネットにあげられている作例も数…

SILBERRA COLOR100を使ったら現像失敗した話

ある日フィルムカメラのお店に入ったら見たことのないフィルムが売っていた。SILBERRA COLOR100というフィルムである。カラーネガフィルムで、説明を読むとロシアのフィルムらしい。お店には作例も展示してあり、けっこういい写りをしていたので買ってみるこ…

山で使うフィルム撮り比べ【35mmカラーネガ編】

フィルムの値上がりが止まらない。安いフィルムはことごとく姿を消し、1本1000円が当たり前の時代となってしまった。この条件下で好みのフィルムを探そうとすると莫大なお金がかかる。各フィルムの作例はいろいろなサイトに載ってはいるが、対象が街や人であ…

感情を失う街道歩き【徒歩日光街道】

奥州街道から分岐後の日光街道は約40キロである。1日で歩き切ることができる距離だ。宇都宮までの気分を忘れないうちに、明日にでも来ようと思っていたが、奥州街道を歩いてから気づいたら3ヶ月経っていた。暖かくなってから歩いたら奥州街道のときと気分が…

山の同行者には死んでもいい人を選ぼう

今年も雪山シーズンが到来した。行きたいところは増え続け、同行者集めに苦心する日々である。雪山は夏山に比べてけっこう簡単に死ぬ気がするので、1人では行かないようにしているためだ。それなのに雪山に行ってくれる人は夏山に比べて圧倒的に少なく、同行…

雪山と街道は意図的に歩き方を変えるべき【徒歩奥州街道後編】

前編はこちら 3日目 前日の夕方から降り始めた雨はいったん止んだ。しかし午後からは本降りの予定である。急がなくてはならない。しかし足がかなり痛くなってきている。スピードが出るだろうか。 宇都宮を出てからは前日までよりもだいぶ幹線道路感が薄れ、…

記憶喪失になったら街道歩きをせよ【徒歩奥州街道前編】

甲州街道を歩いてから1年半が経った。歩くことへの義務感のようなものが抑えきれなくなってきた。奥州街道編スタート。 東海道編はこちら(準備編、実践編①、実践編②) 甲州街道編はこちら(①、②、③、④) https://www.jinriki.info/kaidolist/nikkokaido/ ht…

エベレスト街道を振り返ったら食あたりとの戦いだった

久しぶりに実家に帰ったら2018年に行ったエベレスト街道の日記が出てきた。フィルム写真ともに振り返り旅の記憶を取り戻す。 2/15 成田→ムンバイ 小田急で人身事故。Kはタクシーで4万円使い成田へ。Kがレンズキャップをなくす。飛行機でブレードランナーとイ…