ジャンダルムで揺れた鎖の音

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山と地質と街道とフィルムカメラのブログ 月1回更新

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SILBERRA COLOR100を使ったら現像失敗した話

ある日フィルムカメラのお店に入ったら見たことのないフィルムが売っていた。SILBERRA COLOR100というフィルムである。カラーネガフィルムで、説明を読むとロシアのフィルムらしい。お店には作例も展示してあり、けっこういい写りをしていたので買ってみることにした。価格は約2000円と少々高い。

 

買ったフィルムはBessaflexTMに装填し、いつものように山や出張先に持っていき撮影を進めた。巻き上げで引っかかったりするようなトラブルも特になかった。36枚を撮り終え、そこそこ老舗の写真店に持っていき現像を依頼。約1時間後にお店に戻ると衝撃の一言、現像に失敗したというのである。

話を聞くとどうやら撮影自体は普通にできていたらしい。ではなぜ失敗になってしまったのかというと、パトローネへの固定方法が特殊だったようだ。どうやらSILBERRA COLOR100というフィルムはなんらかのフィルムを詰め替えて作られている。下の画像のようにパトローネに残ったフィルムの切れ端にセロテープで別のフィルムが張り付けてあったようだ。パトローネだけ再利用したのか、フィルム自体もなにか別のフィルムを転用しパッケージだけ変えて売っていたのかは分からない。

明らかに異なる種類のフィルムが張り付けられていてキメラ感ある

これがなんの問題になるのかというと、このセロハンテープが邪魔をしてフィルムの切断がうまくできなかったようなのだ。本来1枚のフィルムを切断できればいいものの、パトローネに残ったフィルム+張り付けたフィルム+セロハンテープの厚みになり、カットが困難となったのだ。その結果現像機が止まってしまい、現像液に浸される時間が大幅に延びて写真が消えてしまったとのこと。昔ながらの吊るし現像を実施している店に頼めばこのような事態は回避できたのかもしれないが、それを見越したリスクヘッジは難易度が高すぎる。

私はフィルムカメラを始めて6年ほどになるが、現像失敗という事例は初めてだった。露出をミスったりフィルムが巻けていなくて多重露光になってしまったりと、フィルムの中の数枚ダメになったことはいくらでもあるが、フィルム1本丸々死んだことは初である。これは経済的にも精神的にも非常に損失が大きい。血反吐を吐きながら山に登ったときの写真が消えたため(途中でフィルムを使い切って交換したのが救いではあったが)、その交通費やかけた時間を考えるとフィルム自体の値段の数倍の損失があった。また、写真が消えてしまったことによる心の隙間を埋めるために、私は前々から気になっていた割と高額なコンパクトフィルムカメラを購入するという決断をしてしまい、結局精神的な損失も経済的な負担に転嫁されてしまった。まあ私の中で実績のないフィルムを買ったのも高額なコンパクトフィルムカメラを買ったのも私の選択の結果で、100%私の逆恨みである。

現像失敗したフィルム、微妙に写真は残っている

この体験から皆様に伝えたいのは、変なフィルムを買ったときの現像はそのフィルムを買った店に出したほうがいいということだ。作例なんかがある場合は確実にその店で現像してみているはずで、トラブルにはなりにくいと推定される。見たこともない変なフィルムを現像依頼されてトラブルになったら写真店側もたまったものではない。今回はたまたま現像機の故障まではいかず現像失敗しただけで終わったけれど、私が出したフィルムのせいで現像機を壊してしまった可能性もあるのだ。一方で変なフィルムは品質的なバラツキが大きいことも推定される。今回似た事例がないか調べてみたのだが特にそのような報告はなく、私の買ったフィルムがたまたま外れだった可能性も否定できない。ということで確実に写っていてほしい場面では富士フイルムコダックなど大手メーカーのフィルムを使いましょう。いや、デジタルカメラを使いましょう。

買ってしまったCONTAX T3、そのうちこの記事も書きます